今日は

140331_114536.jpg140331_114954.jpg
140331_120027.jpg
         看板犬薬師池公園に行って人犬共に運動不足解消

140331_131811.jpg
                  乗馬クラブ行って(見学)

                ホールケーキのご注文頂いちゃった

140331_141028.jpg140331_142253.jpg
            お客様オススメのチェーン店に寄って帰宅
スポンサーサイト

塚本ケイスケです

土曜日の夜、好きだった前の店長から異動を知らされて以来、カラオケで唄ってきた。

やはり店長の姿はなかった。もう、永遠に逢うことはないのだろうか。。
[広告] VPS

突然ですが、私の名前は塚本ケイスケ(イヌ年)。「桑田ケイスケと同じ」と言いたいのではなく、店名スケッチブックの由来について語りたくなった。

スケッチとは、永遠に出逢うことができない友が付けてくれたあだ名だ。「スケ」からとって「スケッチ」

ブックは、名字の塚本の「本」を英語にして「ブック」

それを繋げてスケッチブック。これが店名の由来です。

絵を描くのが好きなのですか?と聞かれたり、「そちらは絵を描きながら食事するんですか?」というお年寄りからのお電話もあったっけ。

そうではありませんから(笑)


映画、永遠の0。どういったものか全くわかりませんが、良いと聞いたので観に行ってみたい。

癒されたぁぁ♡

130826_162454.jpg
              今日はウチから車で5分の乗馬クラブへ

130826_162918.jpg
                  こんにちはー!


              もちろん!¨貧民¨のは見学のみ(^u^)

130826_163857.jpg
       しかし¨見学¨といっても、たくさんの元競走馬と触れ合えるのです

130826_163937.jpg130826_164240.jpg
130826_164520.jpg130826_165431.jpg
130826_164635.jpg130826_164709.jpg
                          
130826_164032.jpg
                  この仔は人気者とのことー

           多くのスタッフさんも、写真撮って下さったり、優しくて

130826_164842.jpg130826_164812.jpg
                  ありがとうございますm(__)m

             130826_165336.jpg
                 すりすりしてお顔出してくれた

130826_165850.jpg
                      お綺麗です

130826_172849.jpg
               最後にお目当ての有名馬に会えて


やあ、とても癒され、何でもっと早く行かなかったのかというくらいで、またすぐ行っちゃいそう

釣り&フィクション(1)明かされたひとつの事実(2)丸玉に迫りくるカゲ

130805_115832.jpg130805_124144.jpg
    今日は宮々瀬の方へ釣りに      釣れたのは尾に引っかかったこれだけ・・・
                                  (釣れたとは言えないね)


       しっかし「友達」ってなんなんやろなあ(?笑?)
                      (ワカラナイ)


【明かされたひとつの事実】
 
 腐りかけの扉が悲痛な音をたてて開いた。円らな瞳の美しい成人女性が、さびついた取っ手を握りながらこちらを見据えている。ぼくは部屋を間違ったと肝を冷やしたが、すぐに女性が「タカギさんですね。どうぞ入ってください」と物静かな口調で言った。いささか首を傾けながら御邪魔に上がったが、独特のどんよりとした空気と、飾り物一つ無い廊下は紛いなくマサキの家である。そして、カーテンを閉めきった居間に通されると、隅っこで体育座りをしてうつむいているマサキがいた。

 「急に呼び出してしまったようですみません」そう女性が言って、座布団と麦茶を差し出してくれた。

 女性は姉だろう。よくマサキが姉は美人だと自慢げに語っていたし、まん丸い目はマサキにそっくりだ。

 「タカギさんのことは弟から聞いています。いつもお世話になっているようで恐縮です」

 「とんでもないです。こちらこそお世話になっていますよ」

マサキはぼくが来たことに気づいているのかいないのか、まったく体勢が変わらない。

 「マサキくんは大丈夫ですかね?」

 「ええ、さっきまでは大変でしたが、今は大丈夫です。転寝している状態でしょう」

 「大変だった?」

 「それを言うとまたご心配をお掛けしてしまいそうで・・・」

 「ぼくは構いません」

 「そうですか」姉は少し目線を下げ、深い吐息をついたが続けてくれた。

 「私が着いたときには掌に大量の薬を持っていて、今にも口に入れてしまいそうでした。すぐに引き留めようとしましたが、死にたい死にたいの一点張りで・・・。私も必死でしたが力が強くて結局いくつか飲んでしまいました」

 ぼくは、もう一度大丈夫なのかと尋ねようとしたがとどめた。姉は薬剤師をしていて、家賃分を仕送ってもらっているとマサキから聞いていたし、自分も薬の知識はある程度有しているつもりだ。処方されている薬を、許容量をいくらか超えて飲んだために、高速の睡魔に襲われているのだろう。

 「これまでに似たようなことはありましたが、ここまでは初めてです。あと少し遅れていたら本当に死んでしまったのではないかと」

 眼中に水分が浮き出し、瞳は美しい上級の黒曜石のようになった。

 ぼくの胸は同情と畏敬の念でいっぱいになった。この女性は若くして壮絶な光景を目の当たりにしている。それからしばらくの間、塞ぎ込んで立ち直れなかったのも知っている。にもかかわらず、今では立派に社会人となって弟まで支えている。自分も似たような経験はしているが、それからの方向は雲泥の差だ。

 「わざわざ来て頂いたのにみっともないところをすみません」姉はそう言って瞬きしながら、中指で涙を払った。

 「いえいえ、とりあえずマサキくんが無事でぼくもホっとしてます。でも、どうしてこんなにも追い詰められてしまったんでしょう・・・」

 語尾のトーンが下がったそれとない問いのせいか、少し間が空いた。ぼくは紛らすように残りの麦茶を大袈裟にノドを鳴らして干した。

 「同じような夢を最近よく見るそうです」

 「同じような夢を?」

 「はい。何度も何度も、母が出てくるそうです・・・」こちらも語尾に向かうにつれてトーンが下がった。

 ぼくは、動揺が見え隠れする姉の表情と語調にただならぬものを感じ取った。やはり、母親とは過去に何かしらの問題があったのかもしれない。

 しばらく目をキョロキョロさせて迷想していると──

 「母の件はなにも知らされていませんでしたか。それもそうかもしれませんね」最後の十三文字は、冷笑するように言った。

 父親が自宅で首吊り自殺を遂げてからのその後の母親の消息について、マサキは一貫して口を閉ざしてきた。出逢って初期の頃は、家出でもしたのだろうと勝手に推察していたが、いくら仲が深化しても、いくら月日が流れても、いくらマサキがご機嫌でも、決して口を割らない。触れようとしても透明の防壁に跳ね返されるばかりだ。それは、ぼくがマサキに対してずっと残念に思っている唯一の点である。

 ぼくは、空になったコップを手にとってしまうほど困惑していた。姉に母親のことを尋ねようか尋ねまいか考えている。マサキの親友として全てを知りたい、そうこの八年思ってきた。けれど、相当にデリケートな事情が隠されているのは間違いないし、姉の語調や仕草の乱れを目撃して恐怖心すら覚えてきている。

 「麦茶を足しましょうか?」

 「あ、お願いします」姉のタイミングのいい心遣いに、ぼくは間髪入れず答えた。

 姉が冷蔵庫に麦茶を取りにいっている間、ぼくの眼界は自然とマサキを捉えていた。いつのまにやら横になり、気持ちよさそうに鼾を掻いてすっかり寝入っている。

 「当分目は覚めないでしょう。せっかく心配して駆けつけて下さったのにまったく」

 ぼくは、初めて目の当たりにする絶叫マシーンになかなか乗ることのできない心境のまま、帰宅することを告げた。マサキのことは姉が付いているし、寝てしまっていては自分の出る幕はない。

 「ご足労をお掛けしたことですし、食事だけでもいかがですか?」

思ってもみない言葉だったが、たしかに腹の減り頃だし、貧民としては夜食代が浮くのは助かる。

 「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

姉はきびきびとした足取りで台所へ向かい、すぐに野菜を切る音が聴こえてきた。一定していて小気味よく、雑音で腐った聴覚が癒される音だ。

 「料理はよくされるんですか?」

 「父が死んでからほぼ毎日しています。最近は弟がこんな調子ですから、来れるときはなるべく身体に良いものを作っています」

 父が死んでから毎日・・・。ぼくはマズイことを訊いてしまったと思いつつ、母親は疾うに死んでいるのだと確信してしまった。それもきっと自殺である。配偶者の自殺に立ち会ってしまった場合の後追い心中は珍しくないし、精神病を患った末の悲劇だろう。このことは以前にぼくの推察の一つに浮かび上がったが、信じたくないという心理が働いたのか、それは邪推だと処分していた。しかしそれが現実だったと思うと心苦しい。同時に、マサキの一貫した姿勢には頷くことができたが──。

 沈思黙考の最中、芳ばしい香気が鼻腔を突いた。

 「お待たせしました」

目下に広がったのは、赤、黄、橙のパプリカに、アスパラにエリンギと、色彩に富んだ醤油ベースの和風パスタである。どの食材も見事にオリーブオイルに上薬されていて目にも鮮やかだ。ぼくの食欲は減退しつつあったが、無意識のうちに箸が進んでいた。

 ぼくはパスタを食すとき、必ず想うことがある。それは、絶対に音をたてて啜ってはいけないということだ。よく日本人がうるさい音をたてて啜るのを見かけるが、パスタはイタリア発祥の食べ物である。イタリアに音をたててパスタを啜る者など存在しない。イタリア人観光客が日本固有の伝統だと聞き知っていて、蕎麦と饂飩を不器用かつ健気に音をたてて啜っている一方、イタ飯屋では日本人が無法にズルズル音をたてている。これは、恥ずべき行為であり、イタリアの文化を侵略するようなものである。

 「母のことが気になっているんですね?」

 「や、あの、そ・・・」

期せずしてぼくの全身が振動した。不覚にも、パスタの啜り音が出てしまったかもしれない・・・。

 「タカギさんのご苦労は存じております。私も弟も心強く思っています」

 姉はフォークを置き、円らな瞳をいっそう大きくさせ、視線を合わせた。ぼくの曲がった背筋が一直線になった。

 「母のことを思うと正直つらいです。ずっと一人で抱え込んできましたから。でも」

 言葉が口ごもり、途中で中断した。表情は沈み、再開の目処は立ちそうにない。母親のことを思い出すと神経が言うことを聞かなくなるようだ。だが、言わんとすることはだいたい分かっている。心の整理もついている。ぼくは、決然と口火を切った。

 「ぼくにもそれなりの過去があります。大丈夫でしたら吐き出しちゃってください。誰にも話すことはありませんから」

 直後、姉の眼中から堰を切ったように涙が流れ出した。もはや黒曜石もクソもない状況である。一気に上瞼が腫れ出し、しゃっくりの急襲にも見舞われ、「ありがとうございます」と無理して言っているが、落ち着くまでには少し時間が掛かりそうだ。ぼくはマサキが起きないかと怯えつつ、じっと返答を待った。

 「すみません」例によって丁重に詫びを入れ、ゆっくりと深呼吸をしてから話し始めてくれた。

 「先ほども言いましたが、ずっと抱え込んでるのが苦しくて。でも簡単に話せることじゃない」首を大きく振り、語気が強まった。

 「簡単に話せることじゃない?」

 「ええ、ですが決心しました。このまま抱え込むことに限界を感じていますし、それにタカギさんなら安心できる」
 
ぼくは、親が後追い自殺をして残された遺族の心情に迫ったニュース番組の記憶を手繰り寄せ、適切な助言の準備に取り掛かった。

 「母は、マサキに殺されました」

 「                 」 

ぼくは耳を疑い、小動物の死後硬直のようにパッタリ動きが止まってしまった。「マサキが母親を殺す」という推察は今の今まで一度として浮かび上がらなかったし、不測の事態に直面して昏迷している。無論、助言もへったくれもない状態であるが、前後不覚に声を絞り出した。

 「どうして・・・」

姉は、根雪を溶かすかのようにまくし立てた。

 「父が死んでから私と母はひどく落ち込みました。見たくもないものを見てしまいましたから。私はしばらく学校に行けなくなり陰に篭もりました。母も最初の数週間は似たようなものでしたが、次第に私、そして特に弟を攻め始めました。どうして知らないフリをしていたの、とか。日ごとにヒステリー症状の度合は増していきました。私達に手まで出すようになり、あまりの豹変ぶりに弟は私によく泣いて縋っていました。そんな生活が二年は続きましたが、夏の休日に弟が海に行きたいと言い出しました。私も気分転換になるよと言って母を説得し、比較的近い葉山町へ日帰り旅行をすることになりました。しかし道中でも喧嘩が絶えませんでした。成長した弟は反抗するようになっていました。楽しい旅を望んでいたはずが、苦々しい顔をしたまま会話もなく、いつの間に夜になってしまいました。これでは来た意味がないと、私は花火を買って砂浜に三人で向かいました。砂浜に着くと、なぜか弟が堤防を指差し『あそこでやりたい』と言いました。私と母は解せないままに弟に付いていき、いつしか堤防の先端に立っていました。そこで線香花火を灯しました。火花は可憐で美しく、私達の顔は安らぎを取り戻しているように思えました。でもそれも束の間でした。突然、弟がすごい勢いで母の背中に抱きつき、そのまま海へ投げ落としました。うねりが激しく、母はあっという間に波に飲み込まれていきました。私はなぜだか分かりませんが、ただ呆然と立ちすくみ、声を上げることもありませんでした」

 「マサキくんは穏健で頭が良く、天使のような顔をした優しい人間です」ぼくは,小声で口を挟んだ。

 「悲鳴は凄かったですが、それも波音にかき消されていくようでした。辺りには人は見当たりませんでした。私は弟の手を握り、すぐにその場を立ち去りました。帰り道、私の気はおかしくなり、体中の震えが止まりませんでした。家に着いても治まらず、高熱が襲いました。ですが堪えました。ここで救急車でも呼べば全てがバレてしまう。私は苦痛の中でも弟を守ろうとしたのです。私自身もどこかで、これでよかったんだと理解しようとしていました。平穏な生活がきっと訪れるのだと。それから数ヵ月後、ニュースで母のことを知りました。頭部と胴体が別々に発見されました。船のスクリューに巻き込まれたのです。その後、両脚は見つかりましたが、あとの部分は今でも見つかっていないようです。警察が事件事故の両面で捜査に乗り出しましたが、あれから十五年が経とうとしています。真実は私達だけが知っています」

 姉は額から滴る汗をティッシュでせき止め、麦茶を豪快に干し、続けた。

 「私は母に対して強い同情を抱いています。全ては父が根源なのです。父のせいで母は重い精神病を患いました。私も弟と同じように父を憎んでします。そして後悔もしています。母を救えたという後悔です。今にしてみれば、なぜ精神科を受診させてやれなかったのかと悔いる日々です」

 話が途絶し、姉はようやく姿勢を崩した。いっぱいに張り詰めた弓弦から矢が解き放たれたかのようだ。十五年間ため込んできた丈を初めて第三者に打ち明けたのである。その風情は、疲労感とともに心なしほっとしているようにみえる。

 「取り乱してしまったかもしれません・・・」

 「当然でしょう」ぼくは励ますように即座に答えた。姉の顔と話を見聞きしているうちに、しっかりしなければと思ったようだ。

 しばらく沈黙が続いた。マサキの鼾がまた聴こえてくるようになった。

 「とりあえずなにも心配なされないでください。誰にもしゃべらないと約束できますし、マサキくんにも今日のことは内緒です」

 「ありがとうございます──。助かります」

 「それに」

ぼくは目線を落とし、用心深く続けた。

 「ぼくも六年前から重い十字架を背負って生きています」

 「重い十字架?」

 「はい。そのことはマサキくんに話しました。たしか一度だけですが」

 「六年前のことですか。聞いていませんね」

 「ええ、それだけは誰にも言わないでくれと釘を刺しましたから。ですが・・・」

 姉は崩れた姿勢を正し、本来の静やかで艶のある声で言った。

 「無理なさらないで下さい。私の話を聞いて頂いただけでも感謝しているのですから。それにもうこんな時間です」

 姉が突き出した右腕の時計に目をやると、既に夜も十一時を回ろうとしている。

 「じゃあ、そのことはいつかお話できれば」そう言ってぼくは立ち上がり、マサキを横目に玄関先へと向かった。

 「ごちそうさまでした。パスタ、おいしかったです。それにとても有意義でした」

 「有意義?」

 「はい。初対面の人とこんなにしゃべれたのは生まれて初めてです。自分でも驚いていますが、たぶんマサキくんに似ていらっしゃったからでしょう」

 「昔からよく言われます(笑)。では、お気をつけて」

姉は、ぼくが見えなくなるまで玄関先に立っている。その胸中は計り知れないが、気持ちの悪いことではない。ぼくは、照れながら手を振った。 もちろん、これが最初にして最後の出逢いになることなど知る由もなく──

【丸玉に迫りくるカゲ】

 ぼくは、吸い寄せられるように実家(今は更地)近くにある寺院に赴いていた。ノスタルジーをおぼえる匂いと情景がそうさせるのだろう。境内にある溜め池は、連日の驟雨で水嵩が増して汚濁している。視界に映じるのは数匹のアメンボウぐらいだが、構うことなく矢継ぎ早に丸玉(服用している精神安定剤)を投げ入れる。すぐに、着水音を捉えた美々しい色模様の魚影が濁水を挑発するように躍り出し、丸玉めがけてスピードを上げる。ぼくは筋書き通りの展開にほくそ笑む。

 ところが、丸玉が口元に近づいた瞬間、雄大な魚体がひるがえった。高々と水飛沫が舞い上がり、魚影は再び濁水に消えた。丸玉は宛てもなく、悲しげに水面を漂流している。

 鯉は丸玉を食べなくなっていた──。ぼくは歯軋りを繰り返し、苛立ちの大声を発するべく、大量の空気を勢いよく吸い込んだ。しかし、風船のように膨らんだ胸腹が無音のままに突然しぼむ。背後から誰かが近づいてきている。砂利をなぶる足音がどんどん大きくなり、直後で止んだ。荒い呼気が襟首に当たっている。恐る恐る頭首だけを作動させると、猛獣さえも平伏しそうな武張った住職が仁王立ちしている。ぼくは会釈することしかできず、灸を据えられることを覚悟した。

 「何をしているのかね?」住職は、容姿にフィットしない細い声でそう言った。

 ぼくは手に持っていた丸玉を慌ててポケットに忍ばせ、返事をしようとしたが、言葉が見つからない。

 住職は、年季が入った竹皮草履を三歩前進させ、カーキ色に染まって迷走する丸玉を見つめだした。

 「鯉は存外賢いのだよ」

ぼくは逃走するべく、忍び足を使って住職から2㍍ほど離れていたが、そうお怒りでもない様子だ。

 「参りに来られた方が帰りがけによくパンを千切って与えておりますから、ここの鯉は人懐こい。だから貴方が最初にそれを与えたときはためらいなく口にしたでしょう。特にそういったお薬は無味無臭でしょうし。ですが、鯉の知能はなかなかのものです。往時に子供達がふざけてパンと一緒に食べ物の形をした消しゴムを投げ入れたことがありました。やはり最初は口にしてしまいましたが、数分後には消しゴムだけが浮いておりました。鯉は瞬時に本物と偽物を嗅ぎ分けていたのです。一度消しゴムを飲み込んだ鯉は、これは害毒以外の何物でもないと思ったことでしょう」

 「害毒」ぼくは小声でつぶやき、その言葉は何よりも恐ろしい凶器となって、心奥の的に突き刺さった。

 住職はごつい身体をこちらに差し向けた。なぜか目尻にシワを寄せている。

 「貴方の曲折した背中には『苦』の文字が私には見えます。月に二回ほど座談会を催しておりまして、様々な懊悩を抱えた方達がいらっしゃいますが、貴方ほど苦の文字が明瞭に浮き出ている方は見たことがありません。きっと大変なご苦労をされているのでしょう。お若いのに」

 ぼくは、住職の物柔らかな語り口に眠くなるほど惹き付けられていたが、全てを見通されている気がして怖くなってきた。

 「最後に」住職は、そんなぼくの心理状態を悟ったかのようにそう前置し、続けた。

 「そのお薬は貴方にとって好ましいものだとは思えません」

直後、一瞬にしてぼくの体温が上がった。丸玉は崩壊寸前の肉体を修復してくれた最愛の物質だ。六年ものあいだ相共にし、幸せをもたらしてくれている。この住職は相愛の長命夫婦に別れなさいと言っているようなものだ。今し方までは、それなりの千里眼を持った人間だと感心していたが大間違いだった。ぼくは去りゆく住職を睨みつけながら、「ただのつるつるゴリラじゃねぇーか」と、自身を落ち着かせるように吐き捨てた。

 正午を告げる梵鐘が鳴り響く中、ぼくは欄干に背中をもたせかけ、溜め池をバックに何気なくケータイを取り出した。写真でも撮ろうかと開いてみると、一件の留守電メッセージが入っていた。マサキからだ──。昨晩に衝撃の事実を知ってしまってから最初の接触となるだけに、ぼくはいくぶん緊張しながらケータイをそっと耳元にあてた。

 「カラダだいじょぶ?」

思わず、こっちのセリフだよと吹き出してしまったが、ひとまず張りのある声色に安慮し、すぐに電話を掛け返した。

 「もしもし?身体、大丈夫だよ(笑) おかげさまで」

 「そっかぁ・・・」

短い返事の中に、何となく含みを感受したぼくは、

 「でもさ、どうしてそんなこと訊いてきたの?」

マサキが咳払いをして体勢を横たえるのが電波を通して伝わった。

 「や、別に・・・」

気管に遮断機が下りたかのように声量が弱り、沈黙が訪れた。何か言いたげではあるが、昨晩にああいうことがあったばかりだ。ぼくは精神状態を斟酌し、話を切り替えた。

 「近いうちにさ、脱け殻獲りに行こうよ(笑)」

本当はきょうでもよかったのだが、マサキが殺人者と知って間もないだけに、もう少し時間を置きたかった。

 「うん」狙い通り、マサキはくすくす笑いながら言った。

マサキと蝉の脱け殻を追い求めるのは一つの習慣であり、夏季限定の娯楽でもある。葉裏にくっつく無量の脱け殻を次々に剥がしていくのはなかなか痛快で、照射に光り輝くカゴ一杯の脱け殻を眺めていると大金を手中にしている気分になれる。一番の目的は食べることだが、元が無味無臭だけに、調理次第では銭を払ってもいいと思うほど旨く、存分に空腹を満たしてくれるのだ。

 「じゃあ、そういうことで」マサキの笑顔も確認できたことだしと、ここで電話を切った。

 ぼくは、名残惜しげに溜め池を見やった。いつともなく、一匹の錦鯉が丸玉にそっぽを向いて浮標している。その光景にぼくは吐息をつきながら、両親もそうだったらよかったのに と深思し、二度と来ることはないであろう寺院を後にした。

 家路に就いたぼくは丸玉を見つめていた。降って湧いた腹の虫は未だ撲滅されてはいないが、どうも住職の言葉が、奥部の歯間に往生際悪く挟まった食べ滓のように引っ掛かっている。医者でも薬剤師でもない年寄りの一言であるが、落ち着き払った言い回しをする住職の残像がここにきて揺さぶりをかけてきた。だが、そろそろ一錠目の丸玉が失効する時間帯でもある。精神が不安定になり、杞憂しているだけだろう。

 早速、ぬるま湯とともに二錠目を胃袋に流し込む。椅子に座して目をつむり、丸玉に染められていくのを静かに待つ。果たして、ものの十分もしないうちに、言い知れぬ解放感におおわれ、しがらみがほどけていく。

 連れるように動作が律動的になったぼくは、夕食の特大カップ麺を手早く作ってペロリと平らげ、瞬く間に膨張したお腹を撫で回しながら、わずかでも疑念を抱いてしまったことを丸玉に謝罪した。

 辺りは日も沈み、部屋には快い薫風が格子を縫って差し入ってくる。ぼくは横になり、しばらくうとうとしていた。そんな中、盲腸付近に異変を感じた。ブーブー音をたてて震動している。どうやら、スボンの右ポケットにケータイを入れたままだったようだ。ぼくは寝惚け眼を擦りながら、相手も確認せずに通話ボタンを押した。

 「ちわーっす!」

また、マサキからだ──。それにしても、やけにテンションが高い。余程うまい具合に薬が効いているのだろう。

 「気持ちよく寝てたのに起こすなよ(笑)。それにそんなに電話してきてカネ大丈夫か?(笑)」ぼくは、マサキに乗せられるように冗談めかして言った。

 「ゴメンゴメン。そういや、こっちから電話したことってあまりないかも」

 「ああ、一日に二回なんて記憶にないよ。なんだか電池の減り速いわ。まあ、ケータイは生きてる心地がしてうれしいだろうけど(笑)」

 マサキの言動にちょっぴり違和感をおぼえつつも、会話は弾んでいく。

 「あのさ」話題を替えるようにマサキが言った。

 「うん?」

 「俺達ってケンカしたことないよね?」数秒の間をあけたのち、突然そう言った。ぼくは、何だよと苦笑しながら返答した。

 「俺達がケンカするなんて高校野球で乱闘が起こるくらいありえないでしょ」

 ぼくは何彼に付けてたとえるのが好きである。特にマサキが絶好調のときは多用する。けっこう、ウケるのだ。

 「なに言っても怒らない?」

くすりともせずに返ってきた・・・。

 「俺が怒ったことなんてあるか?(笑)。安心しろ、俺を怒らせるなんて田原総一郎やセルジオ越後をやり込めるくらい難しいことだから」

 ぼくは懲りず、半ばこじつけ気味に言ったが、今度は黙っている。きっと笑いを堪えているのだろう。ぼくはしてやったりとばかりにニヤニヤした。

 がしかし、馬鹿に沈黙が長い。相当、効いてしまったのだろうか──。いや、それにしては静かすぎる。

 「どうした?なんか言え(笑)」ぼくは我慢できず催促した。すると、マサキは覚悟を決めたような長大息をついて言った。

 「丸玉は精神安定剤じゃないんだ・・・」

 「え?・・・」
hondadog_130_43-b.gif
o0640048013236950305.jpg
プロフィール

スケッチくん

Author:スケッチくん
喫茶スケッチブックへようこそ!
住所 〒195-0072
町田市金井2-14-16
電話・042-708-0360
営業日・火水木金土日(月曜祝日営業!)の11時~18時ラストオーダー(陽の延びる時期は20:00頃まで営業している場合があります。お電話下さい。)
地図

カレーは甘味の後に辛味がくるのが特徴です。
現在は6種類で、週替わりでローテーションしています。
1日に3~5種類ございますので、お客様にお選びいただく形になります(2種類選べるハーフ&ハーフが好評です!)。
ケーキは季節限定モノを含めると10種類☆
こちらはオーナーの気分でローテーションしています(笑)
他、コーヒー、紅茶にも相当こだわっておりますので、深い味わいをご堪能ください!

【更新あり】
2012年3月15日よりOPENした、室内でワンちゃんとお食事ができるお部屋の予約に関しましては、電話または下記のメールフォームよりお願いいたします☆
(予約なしでもお入りいただけます♪予約でないお客様のが圧倒的に多いです)
尚、店内もワンちゃんOKですので、沢山のご来店お待ちしております♡

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
グルメ
619位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レストラン/飲食店
237位
アクセスランキングを見る>>
カウンター
プロフィール

スケッチくん

Author:スケッチくん
喫茶スケッチブックへようこそ!
住所 〒195-0072
町田市金井2-14-16
電話・042-708-0360
営業日・火水木金土日(月曜祝日営業!)の11時~18時ラストオーダー(陽の延びる時期は20:00頃まで営業している場合があります。お電話下さい。)
地図

カレーは甘味の後に辛味がくるのが特徴です。
現在は6種類で、週替わりでローテーションしています。
1日に3~5種類ございますので、お客様にお選びいただく形になります(2種類選べるハーフ&ハーフが好評です!)。
ケーキは季節限定モノを含めると10種類☆
こちらはオーナーの気分でローテーションしています(笑)
他、コーヒー、紅茶にも相当こだわっておりますので、深い味わいをご堪能ください!

【更新あり】
2012年3月15日よりOPENした、室内でワンちゃんとお食事ができるお部屋の予約に関しましては、電話または下記のメールフォームよりお願いいたします☆
(予約なしでもお入りいただけます♪予約でないお客様のが圧倒的に多いです)
尚、店内もワンちゃんOKですので、沢山のご来店お待ちしております♡

プロフィール

スケッチくん

Author:スケッチくん
喫茶スケッチブックへようこそ!
住所 〒195-0072
町田市金井2-14-16
電話・042-708-0360
営業日・火水木金土日(月曜祝日営業!)の11時~18時ラストオーダー(陽の延びる時期は20:00頃まで営業している場合があります。お電話下さい。)
地図

カレーは甘味の後に辛味がくるのが特徴です。
現在は6種類で、週替わりでローテーションしています。
1日に3~5種類ございますので、お客様にお選びいただく形になります(2種類選べるハーフ&ハーフが好評です!)。
ケーキは季節限定モノを含めると10種類☆
こちらはオーナーの気分でローテーションしています(笑)
他、コーヒー、紅茶にも相当こだわっておりますので、深い味わいをご堪能ください!

【更新あり】
2012年3月15日よりOPENした、室内でワンちゃんとお食事ができるお部屋の予約に関しましては、電話または下記のメールフォームよりお願いいたします☆
(予約なしでもお入りいただけます♪予約でないお客様のが圧倒的に多いです)
尚、店内もワンちゃんOKですので、沢山のご来店お待ちしております♡

リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR