金井フェスティバル?と小説

来週の土曜日に金井広場(ウチから徒歩30秒)で金井フェスティバル(フリーマーケット?)

が催されるそうですね

毎年やっていて、すぐ近くなのに一度も参加したことはありません

金井商店会というものにも入っていないので、去年も当店が何か(カレーやケーキ)お出しするということもありませんでした


で、今年は先だってのコーヒー教室でもお世話になったヒルズ珈房さんが、カレー屋さんとコラボして出店するようです


本当にウチと近いので、くれぐれもウチのカレーとお間違いなされぬように。。


さて、今日はネタというネタもないので、昔ぼくがよく書いてた小説でもどうぞ

断片的(一部分)で申し訳ありませんが、それなりに楽しめるモノでは?と。。

それではどうぞ



 腐りかけの扉が悲痛な音をたてて開いた。円らな瞳の美しい成人女性が、さびついた取っ手を握りながらこちらを見据えている。ぼくは部屋を間違ったと肝を冷やしたが、すぐに女性が「タカギさんですね。どうぞ入ってください」と物静かな口調で言った。いささか首を傾けながら御邪魔に上がったが、独特のどんよりとした空気と、飾り物一つ無い廊下は紛いなくマサキの家である。そして、カーテンを閉めきった居間に通されると、隅っこで体育座りをしてうつむいているマサキがいた。

 「急に呼び出してしまったようですみません」そう女性が言って、座布団と麦茶を差し出してくれた。

 女性は姉だろう。よくマサキが姉は美人だと自慢げに語っていたし、まん丸い目はマサキにそっくりだ。

 「タカギさんのことは弟から聞いています。いつもお世話になっているようで恐縮です」

 「とんでもないです。こちらこそお世話になっていますよ」

マサキはぼくが来たことに気づいているのかいないのか、まったく体勢が変わらない。

 「マサキくんは大丈夫ですかね?」

 「ええ、さっきまでは大変でしたが、今は大丈夫です。転寝している状態でしょう」

 「大変だった?」

 「それを言うとまたご心配をお掛けしてしまいそうで・・・」

 「ぼくは構いません」

 「そうですか」姉は少し目線を下げ、深い吐息をついたが続けてくれた。

 「私が着いたときには掌に大量の薬を持っていて、今にも口に入れてしまいそうでした。すぐに引き留めようとしましたが、死にたい死にたいの一点張りで・・・。私も必死でしたが力が強くて結局いくつか飲んでしまいました」

 ぼくは、もう一度大丈夫なのかと尋ねようとしたがとどめた。姉は薬剤師をしていて、家賃分を仕送ってもらっているとマサキから聞いていたし、自分も薬の知識はある程度有しているつもりだ。処方されている薬を、許容量をいくらか超えて飲んだために、高速の睡魔に襲われているのだろう。

 「これまでに似たようなことはありましたが、ここまでは初めてです。あと少し遅れていたら本当に死んでしまったのではないかと」

 眼中に水分が浮き出し、瞳は美しい上級の黒曜石のようになった。

 ぼくの胸は同情と畏敬の念でいっぱいになった。この女性は若くして壮絶な光景を目の当たりにしている。それからしばらくの間、塞ぎ込んで立ち直れなかったのも知っている。にもかかわらず、今では立派に社会人となって弟まで支えている。自分も似たような経験はしているが、それからの方向は雲泥の差だ。

 「わざわざ来て頂いたのにみっともないところをすみません」姉はそう言って瞬きしながら、中指で涙を払った。

 「いえいえ、とりあえずマサキくんが無事でぼくもホっとしてます。でも、どうしてこんなにも追い詰められてしまったんでしょう・・・」

 語尾のトーンが下がったそれとない問いのせいか、少し間が空いた。ぼくは紛らすように残りの麦茶を大袈裟にノドを鳴らして干した。

 「同じような夢を最近よく見るそうです」

 「同じような夢を?」

 「はい。何度も何度も、母が出てくるそうです・・・」こちらも語尾に向かうにつれてトーンが下がった。

 ぼくは、動揺が見え隠れする姉の表情と語調にただならぬものを感じ取った。やはり、母親とは過去に何かしらの問題があったのかもしれない。

 しばらく目をキョロキョロさせて迷想していると──

 「母の件はなにも知らされていませんでしたか。それもそうかもしれませんね」最後の十三文字は、冷笑するように言った。

 父親が自宅で首吊り自殺を遂げてからのその後の母親の消息について、マサキは一貫して口を閉ざしてきた。出逢って初期の頃は、家出でもしたのだろうと勝手に推察していたが、いくら仲が深化しても、いくら月日が流れても、いくらマサキがご機嫌でも、決して口を割らない。触れようとしても透明の防壁に跳ね返されるばかりだ。それは、ぼくがマサキに対してずっと残念に思っている唯一の点である。

 ぼくは、空になったコップを手にとってしまうほど困惑していた。姉に母親のことを尋ねようか尋ねまいか考えている。マサキの親友として全てを知りたい、そうこの八年思ってきた。けれど、相当にデリケートな事情が隠されているのは間違いないし、姉の語調や仕草の乱れを目撃して恐怖心すら覚えてきている。

 「麦茶を足しましょうか?」

 「あ、お願いします」姉のタイミングのいい心遣いに、ぼくは間髪入れず答えた。

 姉が冷蔵庫に麦茶を取りにいっている間、ぼくの眼界は自然とマサキを捉えていた。いつのまにやら横になり、気持ちよさそうに鼾を掻いてすっかり寝入っている。

 「当分目は覚めないでしょう。せっかく心配して駆けつけて下さったのにまったく」

 ぼくは、初めて目の当たりにする絶叫マシーンになかなか乗ることのできない心境のまま、帰宅することを告げた。マサキのことは姉が付いているし、寝てしまっていては自分の出る幕はない。

 「ご足労をお掛けしたことですし、食事だけでもいかがですか?」

思ってもみない言葉だったが、たしかに腹の減り頃だし、貧民としては夜食代が浮くのは助かる。

 「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

姉はきびきびとした足取りで台所へ向かい、すぐに野菜を切る音が聴こえてきた。一定していて小気味よく、雑音で腐った聴覚が癒される音だ。

 「料理はよくされるんですか?」

 「父が死んでからほぼ毎日しています。最近は弟がこんな調子ですから、来れるときはなるべく身体に良いものを作っています」

 父が死んでから毎日・・・。ぼくはマズイことを訊いてしまったと思いつつ、母親は疾うに死んでいるのだと確信してしまった。それもきっと自殺である。配偶者の自殺に立ち会ってしまった場合の後追い心中は珍しくないし、精神病を患った末の悲劇だろう。このことは以前にぼくの推察の一つに浮かび上がったが、信じたくないという心理が働いたのか、それは邪推だと処分していた。しかしそれが現実だったと思うと心苦しい。同時に、マサキの一貫した姿勢には頷くことができたが──。

 沈思黙考の最中、芳ばしい香気が鼻腔を突いた。

 「お待たせしました」

目下に広がったのは、赤、黄、橙のパプリカに、アスパラにエリンギと、色彩に富んだ醤油ベースの和風パスタである。どの食材も見事にオリーブオイルに上薬されていて目にも鮮やかだ。ぼくの食欲は減退しつつあったが、無意識のうちに箸が進んでいた。

 ぼくはパスタを食すとき、必ず想うことがある。それは、絶対に音をたてて啜ってはいけないということだ。よく日本人がうるさい音をたてて啜るのを見かけるが、パスタはイタリア発祥の食べ物である。イタリアに音をたててパスタを啜る者など存在しない。イタリア人観光客が日本固有の伝統だと聞き知っていて、蕎麦と饂飩を不器用かつ健気に音をたてて啜っている一方、イタ飯屋では日本人が無法にズルズル音をたてている。これは大いなる矛盾でもあり、恥ずべき行為でもあり、イタリアの文化を侵略するようなものでもある。

 「母のことが気になっているんですね?」

期せずしてぼくの全身が振動した。不覚にも、パスタの啜り音が出てしまったかもしれない・・・。

 「や、あの、そ・・・」

 「タカギさんのご苦労は存じております。私も弟も心強く思っています」

 姉はフォークを置き、円らな瞳をいっそう大きくさせ、視線を合わせた。ぼくの曲がった背筋が一直線になった。

 「母のことを思うと正直つらいです。ずっと一人で抱え込んできましたから。でも」

 言葉が口ごもり、途中で中断した。表情は沈み、再開の目処は立ちそうにない。母親のことを思い出すと神経が言うことを聞かなくなるようだ。だが、言わんとすることはだいたい分かっている。心の整理もついている。ぼくは、決然と口火を切った。

 「ぼくにもそれなりの過去があります。大丈夫でしたら吐き出しちゃってください。誰にも話すことはありませんから」

 直後、姉の眼中から堰を切ったように涙が流れ出した。もはや黒曜石もクソもない状況である。一気に上瞼が腫れ出し、しゃっくりの急襲にも見舞われ、「ありがとうございます」と無理して言っているが、落ち着くまでには少し時間が掛かりそうだ。ぼくはマサキが起きないかと怯えつつ、じっと返答を待った。

 「すみません」例によって丁重に詫びを入れ、ゆっくりと深呼吸をしてから話し始めてくれた。

 「先ほども言いましたが、ずっと抱え込んでるのが苦しくて。でも簡単に話せることじゃない」首を大きく振り、語気が強まった。

 「簡単に話せることじゃない?」

 「ええ、ですが決心しました。このまま抱え込むことに限界を感じていますし、それにタカギさんなら安心できる」
 ぼくは、親が後追い自殺をして残された遺族の心情に迫ったニュース番組の記憶を手繰り寄せ、適切な助言の準備に取り掛かった。

 「母は、マサキに殺されました」

 「                 」 

ぼくは耳を疑い、小動物の死後硬直のようにパッタリ動きが止まってしまった。「マサキが母親を殺す」という推察は今の今まで一度として浮かび上がらなかったし、不測の事態に直面して昏迷している。無論、助言もへったくれもない状態であるが、前後不覚に声を絞り出した。

 「どうして・・・」

姉は、根雪を溶かすかのようにまくし立てた。

 「父が死んでから私と母はひどく落ち込みました。見たくもないものを見てしまいましたから。私はしばらく学校に行けなくなり陰に篭もりました。母も最初の数週間は似たようなものでしたが、次第に私、そして特に弟を攻め始めました。どうして知らないフリをしていたの、とか。日ごとにヒステリー症状の度合は増していきました。私達に手まで出すようになり、あまりの豹変ぶりに弟は私によく泣いて縋っていました。そんな生活が二年は続きましたが、夏の休日に弟が海に行きたいと言い出しました。私も気分転換になるよと言って母を説得し、比較的近い葉山町へ日帰り旅行をすることになりました。しかし道中でも喧嘩が絶えませんでした。成長した弟は反抗するようになっていました。楽しい旅を望んでいたはずが、苦々しい顔をしたまま会話もなく、いつの間に夜になってしまいました。これでは来た意味がないと、私は花火を買って砂浜に三人で向かいました。砂浜に着くと、なぜか弟が堤防を指差し『あそこでやりたい』と言いました。私と母は解せないままに弟に付いていき、いつしか堤防の先端に立っていました。そこで線香花火を灯しました。火花は可憐で美しく、私達の顔は安らぎを取り戻しているように思えました。でもそれも束の間でした。突然、弟がすごい勢いで母の背中に抱きつき、そのまま海へ投げ落としました。うねりが激しく、母はあっという間に波に飲み込まれていきました。私はなぜだか分かりませんが、ただ呆然と立ちすくみ、声を上げることもありませんでした」

 「マサキくんは穏健で頭が良く、天使のような顔をした優しい人間です」ぼくは,小声で口を挟んだ。

 「悲鳴は凄かったですが、それも波音にかき消されていくようでした。辺りには人は見当たりませんでした。私は弟の手を握り、すぐにその場を立ち去りました。帰り道、私の気はおかしくなり、体中の震えが止まりませんでした。家に着いても治まらず、高熱が襲いました。ですが堪えました。ここで救急車でも呼べば全てがバレてしまう。私は苦痛の中でも弟を守ろうとしたのです。私自身もどこかで、これでよかったんだと理解しようとしていました。平穏な生活がきっと訪れるのだと。それから数ヵ月後、ニュースで母のことを知りました。頭部と胴体が別々に発見されました。船のスクリューに巻き込まれたのです。その後、両脚は見つかりましたが、あとの部分は今でも見つかっていないようです。警察が事件事故の両面で捜査に乗り出しましたが、あれから十五年が経とうとしています。真実は私達だけが知っています」

 姉は額から滴る汗をティッシュでせき止め、麦茶を豪快に干し、続けた。

 「私は母に対して強い同情を抱いています。全ては父が根源なのです。父のせいで母は重い精神病を患いました。私も弟と同じように父を憎んでします。そして後悔もしています。母を救えたという後悔です。今にしてみれば、なぜ精神科を受診させてやれなかったのかと悔いる日々です」

 話が途絶し、姉はようやく姿勢を崩した。いっぱいに張り詰めた弓弦から矢が解き放たれたようだ。十五年間ため込んできた丈を初めて第三者に打ち明けたのである。その風情は、疲労感とともに心なしほっとしているようにみえる。

 「取り乱してしまったかもしれません・・・」

 「当然でしょう」ぼくは励ますように即座に答えた。姉の顔と話を見聞きしているうちに、しっかりしなければと思ったようだ。

 しばらく沈黙が続いた。マサキの鼾がまた聴こえてくるようになった。

 「とりあえずなにも心配なされないでください。誰にもしゃべらないと約束できますし、マサキくんにも今日のことは内緒です」

 「ありがとうございます──。助かります」

 「それに」

ぼくは目線を落とし、用心深く続けた。

 「ぼくも六年前から重い十字架を背負って生きています」

 「重い十字架?」

 「はい。そのことはマサキくんに話しました。たしか一度だけですが」

 「六年前のことですか。聞いていませんね」

 「ええ、それだけは誰にも言わないでくれと釘を刺しましたから。ですが・・・」

 姉は崩れた姿勢を正し、本来の静やかで艶のある声で言った。

 「無理なさらないで下さい。私の話を聞いて頂いただけでも感謝しているのですから。それにもうこんな時間です」

 姉が突き出した右腕の時計に目をやると、既に夜も十一時を回ろうとしている。

 「じゃあ、そのことはいつかお話できらば」そう言ってぼくは立ち上がり、マサキを横目に玄関先へと向かった。

 「ごちそうさまでした。パスタ、おいしかったです。それにとても有意義でした」

 「有意義?」

 「はい。初対面の人とこんなにしゃべれたのは生まれて初めてです。自分でも驚いていますが、たぶんマサキくんに似ていらっしゃったからでしょう」

 「昔からよく言われます(笑)。では、お気をつけて」

姉は、ぼくが見えなくなるまで玄関先に立っている。その胸中は計り知れないが、気持ちの悪いことではない。ぼくは、照れながら手を振った。 もちろん、これが最初にして最後の出逢いになることなど知る由もなく──



・・・ちょっとグロくて長かったでしょうか?

ご講読ありがとうございましたm(__)m

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No title

こんばんゎ!小説まで書かれてたんですね!?うちも昔かいてましたぁ笑っ
私の場合は、ファンタジーですが(^-^;ちょっとグロメの。笑っ
共通点が以外と多いですねー(^-^)/
続き、また載せてくださいね♪♪

こんばんは★
返事が大変遅くなり申し訳ありませんm(__)m

書いてたと言っても趣味の域で、売り込むとかはないですょ(笑)

ファンタジーですか!ちょっとみてみたいですね~(`´)

確かに多いかもしれないですね(笑)

続き・・・載せれたらいつか(苦笑(^_^.))

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